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『體露金風(たいろ/きんぷう)』

おはようございます。
寒さの中で、朝の空気が凛と感じます。
冬の気配が日々押し寄せてきています。

今日のお話は、コーチングと何の関わりもない
と仰る方がいらっしゃるでしょうが、
まあそう言わずに聞いてみてください。

目次

無一物 = 無尽蔵

凛とした朝の空気の中、散歩をしますと、
草木が実りの晩秋に名残を噛みしめているのか、
泪が一粒、二粒。

露が葉っぱの表面をゆらゆらと
動いています。

 甘露甘露

   あさつゆの

       生命飲み干す (お粗末:クマ)


さて、皆さんは『體露金風(たいろ/きんぷう)』と言う
言葉をお聞きになられたことはありますか?

『碧巌録』に出てくるのですが、
體は体の旧字で、全体、すべてを抱合したものと
考えてください。

露は、「つゆ」とは呼ばず、「ろ」と呼びます。
今日のノッケに露(つゆ)のことを
お話したから引っ掛かった人もいらっしゃるのでは?

さて、「ろ」は露出のろです。
さらけ出す、あらわれると言う意味です。

この言葉をつきとめていけば、限りのないこととして、
無尽蔵を指すと考えられます。

金風は、秋の爽やかな風を指します。

『體露金風(たいろ/きんぷう)(碧巌録)

『碧巌録』の中では、修行僧が雲門禅師に問います。

「樹凋み(しぼみ)葉落ちる時如何」

秋も深まり、木々の葉も落ちて参りました。
枝だけが無残に残った木々があるのみです。
これをどのようにお考えになられますか?

これに対して、雲門禅師は応えます。

「體露金風」

いっさいが明らかになって秋の風のように清々しい。

これはどのような問答なのでしょう?

修行僧は、葉が落ちて枝、幹が現れた状態を問うていますが、
これは煩悩と言う葉が落ちて「本来の無一物」となった、
悟った状態を訊いているのはないでしょうか?

これに対して雲門禅師は、いっさいが明らかになっているが故に、
「無尽蔵」の状態であると応えていると考えます。

無一物 = 無尽蔵

「無一物 = 無尽蔵」

喩は悪いでしょうが、ブラックホールは何もない状態に見えますが、
その中にはあらゆる物質を飲み込んだ結果できるものと聞いています。

無一物であるがゆえに、無尽蔵。

Simple is common to the whole.

一見、矛盾のように聴こえるかも知れませんが、
この公式は成り立つのではないかと思います。

お茶の世界でも、秋の時期に「體露金風」のお軸が
掛かることがあります。

陰陽五行で言えば、木(春)、火(夏)、土(土用)、
金(秋)、水(冬)と分けますので、
秋は金となります。
ですから、金風と言うのでしょうネ。

このお軸を観て、身、こころを清香にして、
あまねく金風が身に纏うように常日頃の鍛錬をして、
活きていくことの大切さを今更ながらに思います。

いかがでしょうか?
今日の話は「コーチングのスキル」ではありませんが、
自分の心を安らげることがあなた自身を豊かにすることではないでしょうか?

あなたが豊かになれば、第三者にもその豊かさを
お裾分けできるのではないでしょうか?

「コーチング」の目的は、スキルを学んで、自分の役に立てることではなく、
あなた自身を豊かに、軽くすることで、相手にあなたの心を
分け与えることを学ぶことです。

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