第二候、「黄鶯睍睆(うぐいす/なく)」
寒っ!
今日、朝起きたら部屋が雪の女王の氷の部屋のようでした。
今日のクマのお話で少しは暖かくなれるでしょうか。
新たな気持ちで書き恥じめた、七十二候は、明日から
第二候、「黄鶯睍睆(うぐいす/なく)」です。
北陸は雪一色ですが、春に向かう立春のこの季節、
温暖な地方ではもう鶯がさえずり始めていますか?
クマの家の庭には未だ鶯が来てくれません。
いつ頃、「ホーホケキョ」と鳴く声を
聞くことができるのでしょう。
鶯が初めて鳴く声を聞いた人は、その声を
「初音(はつね)」と素適な響きで伝えます。
春を呼ぶ貴重な音です。
鶯の初鳴き 一声
春ひらく (クマ:お粗末)
などと美しいお話をしておりますのに、頭の中の絵は、
今夜は、バカ貝でもぬたにし、小柱をちょちょいとまとめ、
アラレにして、鶯菜(小松菜)を湯にさっと潜らせて、
はふはふなんざ言いながら、口に運び、
ヌル燗をちびりとやっつけた日にあ・・・
などとまだ、呑むことを考えている自分にハッとしました。
クマは呑むことしか考えていないのカエ。
わたしも懲りないねえ。
ということで、愚句第二弾です。
鶯の
初鳴き声に
余寒解く (クマ:お粗末))
「余寒(よかん)」とは、立春の後の寒さを表す
春の季語です。
春に向かって行きながらもまだまだ寒い状態を
言いますので、ちょうど今頃なんかそうですネ。
鶯の一声に余寒も引越しの準備を
いそいそとしてくれるのではないでしょうか?
ところで、このきれいに鳴く鶯は雄だそうです。
雌に認めてもらうために雄は必死に鳴く
練習をすると言います。
はたして人間界の男たちは、誰のために、
何を一所懸命するのでしょうか?
さて、この鶯の鳴き声が南から始まり、
北上する様子を、「桜前線」と同じように、
春の先触れとして北上する、「初鳴き前線」と
言う素適な言葉を日本人は紡ぎだしました。
やっぱり日の本はいいやネ。
<時候を表わす季語>
春を告げる花(草)と、同じく春を告げる鳥、
これがこの候の季語となります。
「春告草」と言う季語は、「梅」を指し、
「春告鳥」と言う季語は、「鶯」を指します。
勿論、梅と鶯も共にこの期の季語です。
梅に鶯は色合いもよいのですが、皆さんは
この梅の色をいったい、何色にイメージ
されているのでしょうか?
「梅」と言うときには、最初に中国から伝わった
白色を表わし、
平安時代に伝わった赤い梅を
「紅梅」と呼び分けるそうです。
「鶯」は春を告げるために里に降りてくるのですが、
この春の時期にしか鶯を見たことのない方のために、
このような話をしましょうか?
鶯は春になり、一所懸命、自分の崇拝する宗教を
布教した後(ホーホケキョなんてネ?)、
夏から冬の間は、山に戻るのですネ。
山に戻った鶯は、冬を山で越します。
春になり里に帰ることをこころの希望として。
さて、この冬の間に山に入った者が鶯の物悲しくも、
希望を含んだ声を聞き、「笹鳴(ささなき)」と呼びました。
そうそう、もう一つ忘れてはならない季語があります。
「東風(こち)」です。前にもお話しましたが、
春になり東の方から何とはなしに暖かみを
含んだ風を感じます。
これを東風と言いました。
この東から吹く風と共に咲く花々を使い、
「梅東風」、「桜東風」と言う季語もできました。
このような風が吹きますと、もはや雪の出番がないはず
なのですが、たまに季節の戻りがあるのでしょうか?
立春を過ぎて降る雪もあります。
この雪は「春の雪」と言い、淡雪の如く
直ぐに溶けてしまいます。
<時候を表わす色>
今も昔も、女性はピンク色を好むようですが、
一概にピンク色を「梅色」と感じるのはクマだけでしょうか?
奈良時代に中国から伝わった梅は白梅で、
平安時代になり紅梅が伝わったとお話しましたが。
この紅梅の色に女性方はメロメロになって1千年。
面白いものです。
さて、色の話でしたネ。
「紅梅色(こうばいいろ)」は代表的な色でしょう。
柔らかな赤色に少し紫色が入っています。
この色は先程も言いましたが、平安時代の
女性には評判が良かったようです。
清少納言が『枕草子』の第34段に
次のようなことを記しています。
「木の花は、濃きも薄きも、紅梅。
桜は、花びら大きに、葉の色濃きが、
枝細くて咲きたる。
藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる。
いとめでたし。」
このように、紅梅の色を一番先に採り上げています。
このことからも紅梅に近い色が当時、
好まれたと思われます。
「白梅じゃなくて、紅梅よ、紅梅!
私たちが好む色は紅梅のような艶やかな色なのよ!」
こんな清少納言の声が聞えてきそうです。
今日はここまでお読みいただき、ありがとうございます。
クマこと高柳昌人(向龍昇人)でした。
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