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サービスとは!? 江戸時代をかえりみて…

おはようございます。
インターネット社会となった今、パーソナルチャンネルを作り、映像を発信することが可能となってきました。
通常のTVも100チャンネル以上が登録され、それぞれが24時間、情報を流し続けています。

また、情報をセグメンテーションしないまま分析するビッグ・データと言う手法が人口に膾炙しています。
これからの商売として、このような中で、どのようにして商品や情報を売っていけばよいのでしょうか?

さあ、ここでちょっと時間を遡ってみましょう。
江戸時代の日本橋に行ってみましょうか。

あなたの目の前に越後屋が見えて参りました。
有名な呉服問屋さんですから、さぞ素適な反物が揃えてあることでしょう。
ちょっと入ってみましょうか。

暖簾をくぐりますと、土間の上がり框に座って、こちらへどうぞなんて言います。
その番頭さんの前に腰掛けますと、
「いらっしゃいませ、今日は旦那様のお召し物、それともご一緒の妙齢のご婦人のお召しでございましょうか?」とニコニコしながらこちとらの身に付けているものを値踏みしてやがる。

「連れに、花見に間に合うようにちょいと艶やかな物を見せてくれねいかい!」
おいらが声を掛けると、丁稚に「定吉や、そこの箪笥の下から2番目の反物を2,3持ってきてください。」

持ってきた反物を、かかあのほうに見せ、「いかがでございましょう? こちらは木綿ではございますが、柄が華やかで、奥様にはお似合いかと存じます。」と抜かしやがる。

今日は、おいらの懐の具合もあったけえんで、重そうな巾着を徐に懐から取り出し、番頭に、「おいおい、花見に行くのに、木綿かえ?」って一声掛けると、

「これは、これは、飛んだ思い違いをいたしました。定や、奥に言って、梅介番頭さんに米沢のものがあるだろうから持ってきてもらっとくれ。」

そうして、持って参りましたのが、越後は米沢の紬でございます。この後、この奥様は米沢の生地で拵えたお召し物を着ぬ(絹)のか着るのか、ツユ知らずではございます。

さて、つまらないお話をいたしました。
さあ、皆さんはこのお話から観えたことはどのようなことでしょうか?
ああ、いくつも観えたと仰る方もいらっしゃるでしょうが、今日はたった一つだけを見つけていただきたいのです。

 

<商品が陳列されていない。>

現代は、できるだけ品数と種類を多くし、陳列棚一杯に並べられた商品。
この形がよしとされているようですが、江戸時代は商品を並べることが少なかったようです。

これは、現代も高級鮨屋で見られますが、ネタケースに静かに並べられた木のケースが花板の前に置かれます。ネタがガラスにべったりと張り付いているようなスシヤじゃありません。

面白い実験があります。物の選択の実験です。

2、3種類の品物から1つを選択してもらう場合と6種類以上の品物から1つを選択してもらう場合の実験なのですが、面白い結果がでました。

2、3種類からの選択はスムーズに行えるのですが、多く選択肢を持てば持つほど、何も選択できなかったと言う結果です。われわれ人間は選択肢が多ければ多いほど選べなくなるようです。

唐突ですが、「深蔵如虚(ふかく/ぞうして/むなしきが/ごとし)」と言う言葉を紹介しましょう。今日は禅語ではなく、『史記』からです。

いっぱい物を溜め込むことが重要として、必死に蓄積してきた。

今、気付いて見れば、いったい何のために・・・。

蔵することが豊かになることだと信じてきたが、自分一人で蔵していても、自分のこころにすらも豊かな気持ちが浮かびやしない。なぜ、こんな虚しいのだろう。

死んでしまえばこの世で生じたことなど何も持っていけないからだろうか?

いや、本当にこの世で生じたことなど何も持っていけないのだろうか?

こんな意味合いにでもお取りくださいませ。

いやいや、さっきの越後屋の話とどう繋がるんだい、と仰るあなた。
あれもこれもと情報を頭に詰め込んで、さあ、いざ行動しようと言うときに、あの方法がイイ、この方法がイイ、いやあれ、あれ、あれだよネ・・・。
こんなふうに迷ってしまい、動けなくなったことはありませんか?

クマなんか、頭の容量が人よりも大きいものですカラ、あれもこれもと頭に詰め込み、あげくにゃ、身体にまで溜め込み、気がついて見りゃ、まったく動けない状態って訳でサア。

(そりゃあクマさん、単に太り過ぎで動くのが億劫になっているんじゃ、ござんせんカエ。)

こんな声が聴こえて参りました。

「マイリマシタ・・・。」

いっぱい色んなもの・ことを溜めこむことは、選択ができなくなる危険性が増えるということです。

それこそ、こりゃ重要だからと何でもかんでも、ズット奥に溜め込んでいたら、色褪せてもう使えやしないもの・こともあるでしょう。こうなってしまえば、洗濯もできないのデスヨ。

換話急題(話を急に換えてしまいやす。)、
さて、優れた商人は、多くの商品を客の前に最初から並べたりはしないで、客との会話の中で、状況によって適当な品物を出してきて、客がぜひこれが欲しいと言う状況を作り出していきます。

いかがでしょうか?

われわれの周りにはたくさんの商品、情報が溢れ返っています。

あなたは、この中からこれはと思うモノを選択できますか?

たくさんの商品を持っているから安心?

たくさんの情報を持っているから知識人?

 

ビッグ・データはたくさんの情報を対象にしているのではありません。

ビッグ・データは全てのデータを対象にしているのです。

だからこそ、目の前に情報を並べて選択するのではなく、

一塊のデータ全てから浮かび上がる情報に価値を見出すのです。

 

もしかしますと、商品や情報の売り方、使い方も変わってくるでしょう。
もしかしますと、江戸時代の越後屋さんに学ぶことがあるかも知れないですヨネ。
いやいや、商売のみならず、個人のことでも今日の話は思い当たる方がお出でではないでしょうか?

 

今日はここまでお読みいただき、ありがとうございます。
高柳昇人でした。

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