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日本の文化 七十二候から

1年は12ヶ月。
これを半月毎に分けて、二十四節気。
この二十四節気を一節気ごとに3つ、5日毎に分けて、七十二候とします。

実際に、季節の移り変わりを観ていますと、
見事に節気、候の移り変わりに符合します。

西洋の文化を上等、先進として、明治政府は
太陽暦を採用したのですが、日の本のように
南北に長い国には太陰暦を基とする節気、
候の方が良かったのではないでしょうか?

今はグローバルとローカルのバランスを
経済の基調とする時代です。
日の本の独自性を打ち出しても
良いのではないでしょうか。

まあ、いつの時代でも、お上のすることは
本質を捉えることはなく、危険な
対処療法なんですがね。

さて、気分を変えて、七十二候では、第五十七候、
「金盞香(きんせんか/さく)」の候です。

立冬に 地も凍るなか

金盞花 凛と咲く(クマ:お粗末)

おおっ、絵に(目に?)浮かびそうな美しさです

んっ?

 

目次

七十二候では、第五十七候、「金盞香(きんせんか/さく)」の候

おおっ、絵に(目に?)浮かびそうな美しさです。
と前項で言ったのですが、
気付かれた方がいらっしゃるのではないでしょうか? 
そうなんです。

我々が通常、キンセンカと読んでいるのは、
黄色や紅色で春に咲くキク科の花ですヨネ。
 
この七十二候で言う金盞花はそれとは違い、
水仙を指します。

嘗て、渋川春海(しぶかわ/はるみ)が貞享暦を造った1684年には、二十四気、「大雪(たいせつ)」(12月初旬から下旬)の末候、六十三候に「水仙開(すいせん/ひらく)」とあり、今、我々が水仙の咲くところを見ることのできる時期とぴったり合うのですが、これがどうしたことか、70年後の宝暦の改暦(1754年)では、水仙の候が消され、「立冬(りっとう)」の末候、五十七候に、「金盞香(きんせん/こおばし)」が入りました。、

これが現代まで引き継がれているのですが、ちょっと季節に違和感があるのはクマだけでしょうか? 

因みに、水仙の花を目に浮かべていただければ、
何故、金盞が入ってきたのかの一因に
なるかと思います。

水仙の花の真ん中は黄色く丸い形をしています。
これを中国では、金の盃と看做され、
金盞(きんさん)と呼びました。
 
そして、花のまわりの白い花弁を、
銀の高台あるいは盃を置く台と看做し、
金盞銀台と呼び、目出度い花とされていました。
 
これを受け七十二候では、水仙と呼ばずに、
金盞を使ったと思われます。
 
今回は金銭を掛けて、水洗を直したお話でした。

<時候を表わす季語>

今朝はとても寒いのですが、ここんとこ昼間は、
ちょいと小春日和が続いております。
 
暖かさにつられて季節外れの花が咲くことがあります。
これを「帰り花」と言います。
 
黄色い蒲公英が「えっ? 間違いちゃった。」と、
はにかむように一輪、咲いています。
「狂い咲き」、「忘咲」などとも言いますが、
クマは帰り花という言い方が好きです。

 夢もとめ 求め続けて 帰り花  
 戦後経る 幾年月や 帰り花 
       (クマ:お粗末2首)

サクラに代表される日の本の花。
この花に身を包み散っていった幾万の英霊。
今、わが日本の優しさを見守って
くれているのでしょうか? 
    
また、クマは、「茶の花」と言う
季語も好きです。
 
いや、季語として好きと言うよりは、
この茶の花の優しき白が好きと
言ったほうがより近いと思います。
 
同じ椿科の「山茶花(さざんか)」も
季語としてこの時候を表します。
 
山茶花も紅、薄紅など色が入ったものも素敵ですが、
やはり白の純粋さ清廉さが浮かび上がって参ります。

<時候を表わす色>

この初冬の時期、先ほど申し上げた、茶の花や
山茶花の白き可憐な花が緑の艶やかな葉に
相まって何とも言えない風情を醸し出します。

いつもは、色そのものに焦点を当て時候の色を
お話するのですが、今回はちょっと違う
お話をしてみます。

日の本の民は「重ね」と言う色の組み合わせ
の妙を創り出しました。
 
表地と裏地による重ね、着物の重ね着による
重ねの面白さ、
果ては、経糸の色と横糸の色の
組み合わせによる重ね。

異なる色を組み合わせて、妙なる
色調のバランスを図ります。
 
この感覚は時代によって、組み合わせの
感覚も違ってきますが、
その時代に想いを馳せてみますと、
その時代の人々の
動きが観えてくるかのようです。

このようにお話していますが、具体的に
重ねの例を挙げて観ないとイメージし難いですヨネ。
こういう喩えで少しお解りいただけるでしょうか。

今ですと、椿が盛んに咲いています。
この椿を「重ね色目」として、蘇芳(すおう)を表地に、
紅梅を裏地に使い、この冬の椿を表現します。

あるいは、「枯野(かれの)」という色目があります。
これは、黄を表地に、淡青(うすあお)を裏地に使います。

如何でしょうか?
枯野がうまくイメージされましたでしょうか? 

また、これからもっと、寒くなってきますと
古人は、「氷」と言う色目を創り出しました。
 白の表地に白の裏地を重ねます。

以前、「白」の色合いは幾つもあると
申したことがありましたネ。
 
ここも同じ色合いの白を重ねるのではなく、
色調の違う白を重ねる面白さがあります。

これにより、氷の微妙な反射光の違いや、
より冷たい感じが出て参ります。

今回は、表地と裏地の重ね色目をちょこっとお話しましたが、
ご自分で色々と伝統的な重ねを楽しんでみてはいかがでしょうか?

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
クマこと高柳昌人(向龍昇人)でした。

色と季語で知る七十二候

*このような七十二候をエッセイとして2年前の11月に
上記の本を出版しました。

是非、お読み頂ければ幸いです。
また、読まれた方の感想などお聞かせ頂ければ嬉しいです。

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