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七十二候、四十八侯、 「水始涸(みず/はじめて/かる)」

もう2年前になりますか、鮨屋の親父がこんなことを言いました。
「何事にも何ものにも旬があってその旬を外したものを

有難く頂く客なんざ、いらねい。

 

そんな訳の解らない客を馬鹿にしながら

高飛車に高いネタをつけ台に乗っける。

 

こいつもいけない。旬も解らないのに、

マグロは大間だとかぬかしやがる。」

 

このように親父が言うのももっともなんです。
この店は、ネタはスゴイ、しゃりの合わせもクマ好み、

ガリすらも美味い。
いいや、すらって言っちゃいけないヨネ。
生姜は今が旬、この1ヶ月ほどの時期に、

土からあがったらすぐに付け込んだものが美味い。
イクラも川に上った物なんざ、固くて喰えたもんじゃない。
海取りの筋子の甘く、柔らかいこと。至極の口当たりです。

 

飲めども尽きぬ
汲めども尽きぬ
富水に
こころ豊かに
友と語らう  (クマ:お粗末)

 

話を戻さないと、永遠に鮨の話をしそうです。
親父の言う通りで、何事にも旬があります。

 

稲穂に実が充分入り、頭を垂れ始めてきました。
いよいよ、稲刈りの準備となります。
しかしながら、田圃の水抜きをご存知の方も

少なくなってきたのではないでしょうか?

 

水田の一部を壊し、張っていた水を抜き始めます。
田圃の水が涸れ、土が少し硬くなってきたら

稲刈りに適した時期になります。
これが、今回の七十二候、四十八侯、

「水始涸(みず/はじめて/かる)」という言葉です。

稲穂垂る
身に二百もの
糧つけて(クマ:お粗末)

一本の稲穂には、お米の実が

100から200粒ほど実るそうです。
そりゃあ、200粒も背負えば重いでしょうネ。
われわれも自分の身に知識だけではなく、

智慧を積み、他者との間の意識共有を

100も200も創りたいものです。
そうすれば、他者の有難さをこころに感じ、

知らぬ間に頭(こうべ)も垂れてくるカモ?

 

こうやって稲からいただいた、新米の甘さ。
この誘惑に耐え切れないクマの甘さ。

それだけじゃない!

山の恵みがいっぱい、いっぱい。
松茸を筆頭に舞茸、湿地(しめじ)、榎(えのき)、

滑子(なめこ)、椎茸なんぞが、

いっぱいいっぱい出てくる。
菌類みな兄弟です!!

 

また、菌類じゃないけど、零余子(むかご)なんぞも美味いやね!
焼き松茸の薫りの豊潤さ、土瓶蒸しなんぞもいいネ。
舞茸はバターをチョイとつけてムニエル。
椎茸はちょいとお醤油塗ってやっぱり焼き。
ええ~い、めんどうくせいやい!
大鍋に全部ぶっこんで、キノコ鍋でパーティー、パーティー。
誰でぃ? ちゃんこ鍋に見えてきたなんて言ってるやつは。
クマは相撲取りじゃ、ねいやい!!

<時候を表わす季語>

地方によっては未だ稲刈りが始まっていない

所もあるのではないでしょうか?

 

稲穂に実がぎっしりと入り、穂がありがとうと
頭を垂れ始めますと、田圃の水を抜きます。
これは稲刈りをするときに水があると

足元が覚束無くなるため、
稲刈りの前に、田圃の水を抜くためです。
田圃の落とし口を切って水を抜くのですが、
この様を「落(おと)し水」と言います。
あるいは、「水落とす」と言う言葉を使い
季語として表します。

<時候を表わす色>
いつも、美しい色をお話していますが、

今日は美味しい色をご紹介しましょう。

 

「葡萄色」。
美味しそうな色でしょ!
このように言いますと、大体の方が、

「ぶどういろ」と読むのでしょうネ。
山葡萄(やまぶどう)と言えば、山登りがお好きな方は
この時期、蝦蔓(えびづる)の赤紫の小さな実が
黄色ずんだ葉っぱとの対比が美しく
イメージされるのではないでしょうか。

「葡萄色」。
この漢字は、「えびいろ」と読みます。
赤紫色をイメージしてください。

 

江戸時代まではこの呼び名であったようですが、
江戸時代に流行った鼠色の一つに、「葡萄鼠」
と言う色が出て参ります。
この読み方が「えびねず」と「ぶどうねず」の両方を
使っていますので、そのあたりで、蝦や海老と
混同しないように読み方が変化したのでしょう。

 

そして皆さんお馴染みの「葡萄色」。
同じ漢字を使うのですが、ここは「ぶどういろ」と
読んでも大丈夫デス。安心ですヨ。
信長や秀吉が飲んでいたようですが、

ワインがわが国に定着するのは明治以降、

勝海舟のアドバイスで新潟でワイン醸造が始まってからです。
この色はクマが最も好きなビロードを思わせる
濃い紫がかった赤色です。
わが日の本の民はなんて素適な感性(感じ)と

漢字を持ち合わせていたのでしょう。

 

 

 

このようなことを

『季語と色で知る 七十二侯〜日の本歳時記エッセイ』(幻冬舎)
に纏めています。

 

ご興味があればお求めいただければ、幸いです。

今日はここまでお読みいただき、ありがとうございます。

クマこと高柳昌人(向龍昇人)でした。

 

追伸

また、今回、アマゾン電子書籍で『第3弾 禅語から学ぶコーチング;人生の夏・秋編』を出しました。

えっ?

今日の七十二候という自然の流れと日本文化とこの書籍は何にも関係ないのと仰るでしょうが、クマはこう思います。

 

人間には右脳と左脳があります。(もっと言えば4つの脳があるのですが)

今日の話は右脳で感じることです。

自然から感じることが我々には大切な経験と感性を宿します。

 

一方、禅に代表される哲学は左脳の働きです。

人間はこの右脳と左脳が一つの容器に入っているのですから、当然の結果として、両方がバランスを取ることで「真実」を宿すことになるのです。

 

今はこんなことを言っても一概に「そうだ!!」と言えないでしょうが、

この先、クマと一緒にちょっと先を見ていきましょう。

そうすると、案外、クマが言っていることが腑に落ちるかもしれません。

 

 

 

目次

アマゾン電子書籍 『第3弾 禅語から学ぶコーチング:人生の夏・秋編』

ということで、今日は、下の本をダウンロードして読んでください。

10月3日、今日までが、「無料」でダウンロードできます。

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