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七十二候、第五十一候「蟋蟀在戸(きりぎりす/とにあり)」

おはようございます。

二十四節気、寒露の最終候ともなりますと、
一段と朝夕の寒さが増してきます。

今回の候、「蟋蟀在戸(きりぎりす/とにあり)」では、
キリギリスが出て参ります。

しかし、キリギリスと言いますが、ここで言う蟋蟀は、どうもバッタ目キリギリス科ではなく、
バッタ目コオロギ科の綴刺蟋蟀(つづれさせこおろぎ)を指すようです。

夜も更けて針仕事なぞしておりますと、フッと首筋が寒くなって、
「おお~、さむ。そろそろ冬の準備をしなくちゃ。」と
カカが破れたぼろの衣服を綴れ、冬着物の縫物を開始する
時分のこの頃、このコオロギが「リーン、リー、リー」と
鳴く音が、より寒さを醸し出すのでしょう。

この音が「肩刺せ、裾刺せ、綴(つづ)れ刺せ」と
聴こえたそうで、このような名前が付いたとか。
綴れと聞いて、綴れ織り、所謂、ゴブラン織りや
西陣を想像なさってはいけません。
あくまで、貧乏な生活の中で破れた衣服を
つぎ合わせて再生した物を指しています。

人生の秋ともなれば

人々の こころ綴れて

暖かき 織物と成し

あなたに 差し掛け

ともに 感動の衣纏わん

こころゆくまで

(クマ:お粗末)

イソップではキリギリスは自分の為にだけ
演奏をしていましたが、日本では古から、
人々の為に寒くなることを
周りの皆に伝えていたのですネ。

<時候を表わす季語>

このように寒くなって参りますと、冬支度として色々な
準備をしておきませんと、冬になってからでは遅いのです。
だから、裏山に入って、色々な薬草を採ってきて、
ひと冬の健康を担保します。

主に根に薬効のある植物、例えば、葛、千振、竜胆等を掘ったのでしょう。
このことから、「薬掘る」と言う季語が
生まれたのではないでしょうか。

また、冬の寒さ対策として、「秋の炉」と言う季語を生みました。

秋の日と言っても、山間ではもう寒いでしょうから
炉に火を入れて暖を取ったのでしょうね。

<時候を表わす色>

「吾亦紅」。


この言葉をスッとお読みになられる方は、
今流行りの山歩きが好きな方ではないでしょうか?

バラ科の花なんですが、どうも形がいけません。

花弁が既に散った後のように見えます。
丁度、小さいマイクと言えば
そんなに遠い表現ではないでしょう。

だから、誰にも見て貰えないかも知れませんヨネ。

そこで、この花、ガンバって、
吾こそはと言いたげな名前です。

この花は、赤が深い臙脂(えんじ)色で、
そんなに目立たない花なのですが、
何とも忘れがたい色なのです。

この花の名前もこの時期の季語となっています。

因みに、読みは、「われもこう」と言います。

「俺もバラと同じなんだゾ~。真っ赤な花を咲かせているんだゾ~!」
こんな声が聞こえてきそうです。

もう一つ、同じく季語となっている「秋茱萸(あきぐみ)」。

こちらは、小さいころ、真っ赤に熟した実を
摘んでは食べ、摘んでは食べた記憶があります。
ちょっと渋みがあったが甘酸っぱく、思い出した今、
口中に香りが広がりました。
柿にしろ、これらにしろ、秋には赤色が似合うのでしょうか?

今回の色の話は、伝統の色ではなく、秋のこの時期、クマの記憶に
残っている色のお話でした。

今日はここまでお読みいただき、ありがとうございます。
クマこと高柳昌人(向龍昇人)でした。

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