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二十四節気「小満(しょうまん)七十二候「蚕起桑食(かいこおきてくわをはむ)

おはようございます。
ここにきて、気温の上昇下降が
著しくなってきました。

この気温の上昇下降に伴って草木が
一段と葉を伸ばしています。
家の裏の里山の緑が日々深くなっていくのが面白い。
ちょっと前まで、薄緑の山だったのに、
深い緑が所々に入り、薄緑、萌葱色と
相まって活気が見えてきます。

命が大きく膨らんできているのを感じる季節です。
このような節気を、気が満ちてくる、命が段々と、
そして、活き活きと地に溢れ満ちてくると言う意味で
明日からの「小満(しょうまん)」と言う言葉の
節気を作ったのでしょう。
素敵な言葉です。

 

目次

お蚕様(おかいこさま)

閑話休題、
某放送局でお蚕様が復活しています。
皆さんは「お蚕(かいこ)さん」をご存知でしょうか?
クマが小さい頃、まだ近くに、「お蚕さん」を
飼っていた農家がありました。
蚕の幼虫が吐く糸から、「絹」ができるのですが、
どうやって糸を採って撚り、紡いで、絹として
織り上げるのか解らないでしょうネ。
 
また、今では、正絹(しょうけん)と言う織物が
お蚕さんの糸からできているということを
知らない人の方が多いのではないでしょうか?

試しに、養蚕(ようさん)と言う漢字をパソコンに
打ってみたのですが、すぐには出てこないほど、
ほとんどの人に知られなくなったのですネ。

蚕を飼う歴史は、数千年前からあると聞いた
ことがありますが、この蚕は自然界には
存在できないものなんです。
 
蚕を山の中に生えている桑の木に乗っけてみますと、
すぐに死に絶えてしまいます。
人間の手を借りなければ、生存できない
動物を人間は創り上げたのですネ。

さて、桑の葉も4月に入ると、新芽が出てきますが、
生まれたばかりのお蚕様には、この柔らかい
新芽を細かく刻んで食べさせます。
 
そして1ヶ月も過ぎ大きくなった幼虫は1頭で
(そうそう、何故かは知らないのですが、
蚕は1匹ではなく、1頭と数えます)、

大きな桑の葉を1日で何と20枚
(25gぐらい)も食すと言われます。
 スゴイ食欲です。
夜でも食べ続けており、小さい頃、隣の家が
養蚕をしていたので、深夜、ガサゴソと言う
音に怖くて飛び起きた記憶が甦ります。
このくらい食べないと、繭をつくれないのでしょう。

食欲と言いますと、クマはとても食いしん坊です。
この頃に出てくるソラマメ。
もう食された方はいらっしゃいますでしょうか?
このソラマメ、どんな漢字が
当てられるかご存知でしょうか?

蚕豆と書いてソラマメと呼ばせます。
なんで蚕と言う字を当てるかと申しますと、
ちょうどこの季節にお蚕さんは繭を作るのですが、
その繭の形にソラマメの形が似ているので
ソラマメに蚕の字を当てたと謂われています。
 
なんて素敵なネーミングなんでしょう。
昔の人はチャーミングですよネ。

時候を表す季語と色

いやいや、こんな薀蓄なんざ、横に置くとして、
こんな日にゃ、ビールを飲みながら蚕豆を口に放り込む。
美味しくて、おいしくて。
 
口いっぱいに頬張り、グビッ。いや~あ、
ビールが喉に心地いいだろうな。

 蚕豆を
       
   口いっぱいに    
            
       夏来たり!   (クマ:お粗末)

ちょいと、話を戻しまして。
今、新宿ではゴジラが睨みをきかせていますが、
日本で生まれた正義の怪獣(?)、モスラは、
養蚕が盛んな頃の日本の発展の象徴でもあり、
お蚕様と呼ぶほどに、神格化していたから
思いついた怪獣なんでしょうね。

でも、もうモスラや、ゴジラも遠い時代の
話になってしまいました。
(クマはこの時代に夢を観ていた二十世紀少年でした。)
いえいえ、アメリカでは再ブームのようです。
 
さてさて、この時期は、梅雨に入るひと時前です。
暑いと言いながら、山や川面を渡る風が
爽やかに吹き、木々の成長を促してくれる
季節でもあります。
 
まさに風が吹く→ 風が福 
と考えられますよネ。

  山川に
   
   命吹き込め
          
      青嵐(あおあらし)  (クマ:お粗末)

我々も、涼やかな風を浴び、
豊かなこころを養いましょう。

<時候を表わす季語>
萌える木から萌黄(もえぎ)、あるいは萌葱(もえぎ)と
言う言葉が浮かびますが、まさに若葉が
萌えるように成長する季節です。
 
「山若葉(やまわかば)」、「若葉風(わかばかぜ)」、
そしてそのものの「若葉」が季語として見えます。
桜は散ってしまいましたが、「葉桜(はざくら)」が
いっそうのすがすがしさを醸し出して
いるのではないでしょうか?
 
   すがすがし

      葉桜の下

        そっと春を置く (クマ:お粗末)

また、本文でもお話しました「蚕豆(そらまめ)」も
代表的な色と香りを感じさせてくれる季語でしょう。

<時候を表わす色>
お蚕さんが吐く糸は何色でしょうか? 
この問いには、ほとんどの人が白色と
お答えになるんじゃないでしょうか? 
 
お蚕さんが作る繭を我々人間がいただくのですが、
お蚕さんが吐く糸には膠質のもの
(セリシンと言う粘着質のタンパク質だそうです。

これが、フィブロインと言う糸の主成分となる
タンパク質と一緒に分泌されます)が
含まれていますので、一旦、お湯で煮て、
硬い膠質に灰汁を混ぜて取り除きます。
 
この作業のことを練ると言い、これから
出来た糸を「練糸」と言いました。
 
この生糸の色は、ちょっと黄味がかった
白なんですが、この色を「練色(ねりいろ)」と
呼びました。
 
クマには良い色に思えるのですが、世の女性は
言うに及ばず、かの清少納言も『枕草子』で、
下襲(したがさね)の下に着ける単は練色よりも
白がよいなんて言っていますので、
生糸の黄味を更に消去し、白色とした
「白練(しろねり)」が流行るはずですよネ。

今日はここまでお読みいただき、ありがとうございます。
たまには、仕事モードから離れて、こんな話は
いかがでしょう?
一休み、一休み

*クマは今日のような話をまとめた上記の本を
上梓していますので、興味があれば
読んでみてください。

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